iOS 9以降でなんちゃって黒SIMを使う

前置き

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。まさかの4年弱ぶりの更新です。
「うるせえ!前置きなんかいいからとっととCellular Payload版の構成プロファイルをインストールさせろ!」という方はiPhoneのSafariからここをタップしてください。

ある時を境にパタッと更新をやめてしまったのですが、じわじわとコメントはついており、コメントにはその間も適宜返信をしておりました。
このブログの始まりはといえば、自宅サーバを立ち上げた時にWebサーバーも建てたのでなにかコンテンツを用意しなきゃと特別意味もなく、まさにタイトル通り自己満目的でしか書いていなかったのですが、
ありがたいことにiPhone 5をSoftBankの3G契約のまま使うという、これまた自己満を満たすだけの記事を書き始めてからは、ちょくちょく当ブログ訪れていただく方も出てき始め、古い情報ではあるものの検索などでいらしてくれる方もいるなと、少しでも自分の情報をシェアできてよかったなと感じます。

なぜずっと更新をしなかったというと、大きく下記の3つの理由があります。

  • iPhone 5以降は基本的にSoftBankの接続(認証)のシステムが変わったということもなく、新たに情報をシェアすることもなかった。
  • 私が時代の流れに逆らえず、LTE契約に移行してしまった。
  • その後SoftBankからauに乗り換えてしまった(爆)

ではなぜ今回急にまた投稿したかというと、何度かコメントでもご指摘のあった通り、
「iOS 9からは従来のAPN設定用の構成プロファイルが使えなくなった」ということが起こりました。
「構成プロファイルとはなんぞや?」という人は過去にiPhone(iOS)のデータ通信の認証の仕組みを説明した記事があるので、そちらをご参照ください。

コメントを見ていても、思ったより多くの方がLTEが主流になった今でも3G運用をしている方が多いなと感じます。
そこで、いい加減対策版の情報も書かなきゃなと思って今回久しぶりに記事を投稿してみます。

「いや、iOS 9が出た段階で書けよ、もう時代はiOS 10だよ」と言われること必至ですが、その時にはすでにauに移ってしまったのでこの騒動を知ったのはかなり後になってからで、「時間も経ってしまったしまあいいや」となってしまったという言い訳をさせていただきたく存じます。

iOS 9から何が変わったのか

簡単に言ってしまうと、構成プロファイルの方式が変わりました。
正確にいうと、構成プロファイルの中APNを設定する部分の書式が変わりました。

構成プロファイルにはiOSの各種設定項目が詰まっていて(各設定項目はPayloadと呼ばれています)、これらのPayloadを一つのファイルにまとめたのが「構成プロファイル」です。
Payloadの種類は多岐にわたり、メール設定用のPayload、Webクリッピング用のPayload (これらはキャリアメールの一括設定でおなじみですね)、各種セキュリティ設定/制限用のPayload、Wi-Fiパスワード設定用のPayload、証明書をiOSに読み込ませるPayloadなどがあります。
この中にはAPN設定用のPayloadもあり、過去の記事ではこのAPN Payloadを作るための情報と手順を公開してきました。

iOS 6以前はAPN Payloadと呼ばれるタイプのPayloadを用いてAPNを設定していました。
実はiOS 7からはAPNを設定するPayloadにタイプが加わり、Cellular Payloadというものが登場しました。
iOS 7とiOS 8では並行期間としてどちらのタイプのPaylaodも認識しましたが、iOS 9からはとうとうAPN Payloadが切り捨てられ、Cellular Payloadに一本化されました。

<マニアックな方向け>
ちなみに「この二つ、何が違うの?」という問いに対しては、「知りません」とお答えする他なく、公式のリファレンスを読んで見ても機能的な違いがわかりません。
AttachAPNという新しい設定項目が増えていますが、設定する内容はAPNsと重複して意味がないように見える一方で、LTEネットワークの場合は再起動後等にネットワークに繋がるまでの時間が短くなったり、au系のネットワークで接続が安定したりとある程度の挙動の変化はあるようです。
また、各種キーの命名や、APN Payloadには「OS X (現: macOS) ではサポートされません。 」の記述がある一方でCellular Payloadには当該記述がないことから、Cellular PayloadはiOSだけにとらわれずにiOS/Macに共通して設定できる前提で追加されたもの (Cellular通信に対応したMacへの布石?) かもしれないと勝手に妄想をしております。
ちなみに、構成プロファイル (.mobileconfigファイル) はmacOSにもインストールが可能で、メールの設定など一部の設定項目はmacOSにも反映されます。

なんちゃって黒SIMでLTE対応iPhoneを3G運用している人以外にも構成プロファイルを使っているところがありますね。
そうです、MVNOでも構成プロファイルを用いてキャリアバンドルのAPNを上書きしてMVNO事業者のAPNに接続させています。
そして、早々に構成プロファイルに関して研究を始めていたIIJやmineoを除く多くのMVNO事業者たちはAPN Payload版の構成プロファイルをユーザーに配布していました。
そのため、多くのMVNOユーザーたちは「iOS 9に上げた途端にデータ通信ができなくなった!」とプチパニックになったと聞きます。

というわけで、iOS 9以降でなんちゃって3G 黒SIMをiPhone 5以降の端末で使うにはCellular Payload版の構成プロファイルを使う必要があります。
逆にiOS 6以前ではCellular Payloadに対応していないので、従来通りのAPN Payload版を使う必要があります。

Cellular Payload版構成プロファイルを用意する

「事情はわかった。じゃあどうやって作ればいいの?iPhone構成ユーティリティ?」
残念ながら現時点でAppleはCellular Payloadに対応した構成プロファイルの書き出しツールを用意していません。
しかし、構成プロファイルの正体はただのテキストファイルです(正確にはXMLという構文で書かれたテキストファイルです)。
なので、適当なテキストエディタでごりごり書くことができます。

「いやさすがにテキストエディタで書くのはめんどいわ。」ってなりますよね。
なので、下記の2つの方法があります:

  • Cellular Payloadに対応した構成プロファイルジェネレーターを使う
    iOS用APN構成プロファイルジェネレータ
    (開発してくださったBLOGRAM管理人さんありがとうございます。元記事
    上記サイトから下記必要項目を入力し、構成プロファイルを出力する。
APN:  smile.world
ユーザー名: dna1trop
パスワード: so2t3k3m2a
ペイロード: Cellularペイロード
認証方法: CHAP
プロキシ: [空欄]:0
出力方法: お好きな方法で
ファイル名: なんでもいいです

注意
前述の通り私は既にSoftBankの3G黒SIMを使用していないため、私が勝手に作ったCellular Payload版構成プロファイルは実機で検証しできておりません。
(成功/失敗報告をコメントでいただけると助かります。)
また、上記どちらの方法も自己責任での使用をお願い致します(もはやお約束ですが)。

というわけで、皆さんのご武運をお祈りしております。


iOS 9以降でなんちゃって黒SIMを使う」への2件のフィードバック

  1. ゆい

    ありがとうございました。
    おかげさまでiphone5s (ME333J/A)+黒simでsoftbankのMMSが受信できるようになりました
    実は同じ要領でiphone6 (mg4e2ll/a)+黒simインストールしてみたのですがダメでした
    どちらのiphoneも
    ios 10.2.1です

    返信
    1. niko

      こんばんわ。

      iphone7でもsoftbankの黒SIMで使用可能なのでしょうか?
      やはり4sで3G回線速度より7の3G回線のほうが速度は速いのでしょうか?

      返信

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